2020年12月05日 ”由良山”


GPSトラックログ (カシミールソフト使用)
この地図の作成に当たっては国土地理院長の承認を得、同院発行の数値地図50000(地図画像)、及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用
 承認番号 平18総使 第582号る


「ちょっと遠いけど、由良半島へ行ってみん」

「碧い海と青い空、良いね〜」

この時は、のんびり景色を楽しみながらの半島歩きと思っておりましたが・・・



由良半島を地図で見ると、 豊後水道に棲む龍のようにクネクネしています

国道56号から分かれ、船越運河の手前から半島先端部を見る

遥か遠く、一番奥のギザギザしている山が由良山でしょう

津島町網代の最終集落手前の県道脇が登山口 横に乗ってるだけでも、疲れました


(8:55)(9:05)(10:05)由良権現分神社跡由良権現分レ(10:15)(10:35)由良山
(11:10)灯台〜(11:25)船着き場〜(11:40)灯台〜(12:00)要塞跡(12:10)〜(12:30)241P
(13:00)由良権現分レ〜(13:50)〜(14:05)集落〜(14:15)P        (5時間20分)



広い路肩に車を停め、廃林道(ブイが積まれている所)から取り付く

入口は草が煩わしいですが、直ぐにまぁまぁの道になる

こんなところを車が走っていたのかしら? 左側は急斜面、木々が無ければ恐いです



えひめ森林浴八十八ヵ所 「由良半島岬の道」

ロープが設置された急坂を登ると、尾根通しの道が続く



鞍部に大正14年建立の石柱「みちしるべ 左アジロ 右カツアジロ」 

下山は、網代集落へ下りて見ます

「みちしるべ」の直ぐ上にある石碑は、明治28年( 日清戦争)と昭和12年(日中戦争)に

外地で亡くなられた村出身の若者の殉国碑でした



大きなウバメガシが目立つ尾根道を緩やかに登る

峠から10分で、三等三角点・串灘(170.09m) 縦走路は左側を巻くので、少し寄り道しました

三角点を過ぎると、岩っぽい所が出てくる



宇和海を眺めながら快適な尾根歩きを期待していたのに、展望はありません

「待ちよって」と言いながら、展望ポイントを探すグランパ

木々が少し薄くなった場所まで下り、雨崎方面を見る

「もう、落ちても知らんよ!」 見てる方がハラハラします



162mp先の分岐を左にとり 少し下ると由良権現神社

石垣や石灯籠、祠前の見事な鬼瓦をみれば、この場所に立派な社殿が建立されていたと思われます

分岐まで引き返し、稜線を進む



歩いて来た稜線を振り返る 一番高い所が201mp

そのずっと向こうが串灘三角点  かなり歩いて来ました



北には御五神島や日振島 潮騒が風に乗って聞こえてくる

ちょっとした展望が開ける岩場で小休止 あのピークの後ろ辺りがたぶん由良山でしょう



南に延びる枝半島の先に、小猿島、地釣礁、沖釣礁

光る海の向こうには西海鹿島、鵜来島、姫島、最奥に沖ノ島など磯釣りメッカの名島が並ぶ



一等三角点・由良岬(249.35m)

由良半島最高点かと思いきや、半島根元辺りに四等・曲烏(まがらす、249.36m)がある

残念ですが、標石の大きさで勝負ということにしましょう

241mpで左へ(右写真) 灯台まで標高差160mほど下ります



急斜面に次々現れるロープを頼り直下降 もう遊歩道どころかサバイバル道です

ロープ場途中で、左に由良山を垣間見る あの南面と同じ斜度を降りていま〜す



やや緩やかになり、照葉樹の森の中に由良岬灯台(初点・昭和25年3月)

GPSに駆逐され、多くの灯台の廃止が検討されているそうですが、ここはどうなんでしょう?

灯台の灯が消えることは、船乗りさんたちには感慨深いものがあると思います

灯台前を左へ、船着き場まで下りて行く

日当たりの良い岩場には白い花がいっぱい



磯の香りを感じながら、断崖に付けられたコンクリートの階段道を下る



灯台保守道なんでしょうが、小石が路面を覆っている

灯台から13分で船着き場 潮裏なので海面は穏やか、タッチして登り返す



灯台まで標高差80m、見上げるとため息が出ます



断崖に護られた要塞・由良山を見る

磯場には釣り人 入り江は潮通しが悪く釣果は余り期待出来ないとか(グランパ談)

とはいうものの グランパは潮通しの良い地釣や沖釣でさえあまり釣れた記憶は無いそうです



日溜りの岩場に可愛いアクセントを添える黄色い花

こんなところに龍様! リュウノウギク(竜脳菊)の冠で飾った白龍です

 

灯台まで戻り、木々の隙間を探し、先の大戦遺構方面を見る



灯台から道は明瞭、緩やかに登り3分で高い石垣が現れる

この辺りには色んな遺構が藪に埋もれている 近くには洞穴



さらに8分で、要塞かな? 中を覗いてみます

旧日本海軍の潜水艦探知施設で、正式名称は由良ア(ゆらのはな)防備衛所といい

聴音室や見張所があったらしいです



遺構の前に広がる雄大な海を眺める

水平線あたりがすっきりしていれば、九州の山が間近に見えるんでしょう

「ガトー級潜水艦のスクリュー音探知! 豊後水道を北上中」なんて聞こえたら、緊張が走ります



真下では潮が勢いよく流れ、白波が立つ



左には、大猿島やウバメガシに埋もれそうな灯台が見える



灯台まで戻ってあのロープ場を登り返すより、此処から尾根に上がった方が早くて楽そうです

風衝低木のトンネルを掻い潜る(左写真)とすぐ遺構がある



遺構の後ろから適当に登ってゆく

所々ピンクテープがありますが、小藪なので何処でも道です とにかく上へ

15分ほどではっきりした尾根に乗る(右写真) 左に下りれば由良岬です

尾根を進み、灯台への分岐241mpで小休止

此処からは、先ほど歩いた道を帰る



再度、岩場から小猿島を見る

「みちしるべ」が建つ峠から網代集落方面に下ってみます

 

下り始めは、そこそこしっかりしていた道がちょっと怪しくなってきた

細い段畑をジグザグ抜け県道に下り立つ(右写真 石段中間点の小藪から出てきた)

のんびり海を眺めながら県道を歩き、10分で駐車地点に帰る

たかが240mと軽い気持ちで尋ねた由良山 歩いてみれば、距離10km余、累積標高855m 

本気モードに切り替えが必要な、しんどい山でした
 



由良半島の中程に開削された運河「船越運河」(写真は、入り口付近です)

潮流が速く浅瀬の多い由良岬は航海の難所だったので

昭和41年に運河が竣工されるまでは小船を担いで陸を越えたそうです

半島付け根に近い家串付近を走っている時、祠と大ワラジが目に飛び込んできた

よく見ると「龍王大権現」 思わず車を停めました


龍のような姿の半島を走り、岬で白龍に会えただけで感動でしたが

思いがけず龍神様にも会えて、満足満足で帰路に着きました

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