嶺南散歩

当市では法皇山脈の南側の銅山川流域を嶺南地区と呼ぶ

製紙工場の煙突が立ち並ぶ臨海部から法皇トンネルを一歩抜けると

そこには風光明媚な自然と、興味深い伝説、人々の生業の歴史が残っています

身近にありながら案外知られていない嶺南地区のほんの一部を尋ね歩きます

2021年01月16日  ”蛇淵・戸女石鎚”






「てらの湖畔広場」にある蛇岩と説明板

讃岐からの娘が、飛び込んで蛇の姿に戻ったという「蛇淵」を尋ねてみましょう

 

落合橋手前の神社 苔生す石段を上がると社がある 何神でしょう?

橋を渡るとすぐ右写真の案内板

左(俣)が雌蛇渕 雄蛇渕は右(俣)です(両方とも左にあるのかと思いました)



まず雌蛇渕へ すぐ車止めチェーンあり

左下に癒しブルー色の小さな淵を見ながら、200mほど林道を進むと「雌蛇渕」の案内板 

足場の悪い急斜面を強引に下りる

水量の割に深い滝壺を持つ雌蛇渕 吸い込まれそうで足が震えます



分岐まで引き返し右俣へ、500mほど林道を進むと「雄蛇渕」の案内板

此方も急斜面を強引に下りると、穏やかな表情の雄蛇渕

深さを器に例えれば、雌蛇渕は大釜、こちらは洗面器といったところでしょうか




昭和51年発行「伊予三島市の歴史と伝説」

「戸女石鎚」の写真は載っていますが、地図も解説文も無し

富郷地区に石鎚信仰があるんですね 石鎚の偉大さを再認識です



法皇湖に架かる城師大橋を渡り、折宇(おりゅう)、戸女(とにょ)方面へ

すぐ向かいの尖山が石鎚でしょう 付近の名山に隠れて今まで気に留めることも無かった山です

登山口は? 裾には見当たらないので南側から尾根を下ってみましょう



車道を奥へ プレハブ建物の裏から尾根を下る 急坂ですが藪は無く歩き易い

鞍部に出て登り返す 右写真の岩場は乗り越える



もう一つ奥に、本家南尖峰のような岩塊が立ちはだかる



左右(それぞれの写真)どっちを攻めようか? (中央突破が出来たかも)

右から慎重に回り込むと・・・・



大きなアカマツを背に鎮座するのは石鎚神社 寄進者名を刻んだ石碑で確信です

正規の参拝道が気になりますが、周りは絶壁でそれらしきは見当たりません

来た道を引き返す 往復35分、嶺南の石鎚探訪でした




2021年02月05日 ”元之庄の八大龍王”


GPSトラックログ (カシミールソフト使用)
この地図の作成に当たっては国土地理院長の承認を得、同院発行の数値地図50000(地図画像)、及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用
 承認番号 平18総使 第582号る


参考文献 「予土の峠物語」「予土の峠をゆく」(妻鳥和教著)

人生の師と尊敬する妻鳥先生に 「元之庄」の話を聞いたのは

もう20年ほど前のことになるでしょうか

昭和60年代に無住の集落となった、富郷町寒川山の「元之庄」は

正応3年(1290)、尾張の国春日郡平田村の地頭の養子、高橋嘉文治が

家来の家族を連れてこの地に来住し土地を開き「元之山」としたそうです

(その後、本之山→本之庄→元之庄と変遷。江戸時代の土地台帳には「さら」と記される)

この「元之庄」に、尾張の国から勧請した八大龍王社跡があるのだとか


P(8:30)〜(8:55)627mコル〜(9:25)元之庄(9:45)〜(10:30)P (2時間)



県道126から、元之庄方面を見る 奥の尖がりが、627mPでしょう

広い路肩に車を停め、猿田川へ下りてゆく



そこそこしっかりした橋が架かっています

橋を渡り、振り返る

いきなり急斜面の植林の中をジグザグ登る 息が上がります



岩屑や落ち葉が覆っていますが、道はしっかりしています

やがて横駆道となり緩やかに高度を上げる 627mpとのコル(右写真)から朝日が射し込んで来る



この丸太橋を渡るのは勇気がいります 左に迂回し、渡渉する

964mp方向へ(地図に破線があります)の分かれ 石のベンチで小休止



深閑とした林の中に残る墓地や石積みが古人の気配を感じさせる

大ケヤキの後ろに石祠!

「八大龍王社跡の周辺にケヤキとかカエデ等の大樹がうっそうと茂っている」

と、平成2年に訪れた妻鳥先生が書かれてますので

この石積みが、八大龍王社跡だと思います



カエデやケヤキが茂る付近の畑跡に杉が植林されているが、平地は少ない

もう少し奥へ進んでみる 苔生す石垣が綺麗です



最奥の民家 ひろな(庭)に冷蔵庫が転がり、軒先に洗濯機もある

元之庄は、その昔伊予と土佐を結ぶ街道の宿場として栄えていたとか

大戸を閉ざした家からひょっこり人が出て来そうです

なおも奥に進むと沢に当たる 水源だったのでしょう

坂瀬に至る古道が残っていないかと20分ほど辺りを散策し、来た道を引き返す



627mp方向に雰囲気の良い巨岩が見え、足を延ばしてみる

ひょっとして龍神さんOR権現さんと期待したんですが、ピークには何も無い



今日のルートは、ほぼ展望がありません 道を少し外し、樹間から豊受山を見る

谷側に何やら石積みが見える 祠のようです



下山し、向かいの下猿田地区から元之庄方面を見る 

新田義貞公が祀られている熊野八幡神社

昭和59年発行の伊予三島市史に拠ると、ご祭神は、熊野事解男命、八大龍王神、他多数です

寿永三年(元暦元年 1184)創建で、現社殿は、正治二年(1200)3月28日の棟札が残る


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