2021年11月27日  ”予讃の峠道(唐谷越)”


GPSトラックログ (カシミールソフト使用)
この地図の作成に当たっては国土地理院長の承認を得、同院発行の数値地図50000(地図画像)、及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用
 承認番号 平18総使 第582号る


自宅から見える予讃国境の山並み、さして高くはないけれど

登山としては金見山、大谷山、あるいは予讃国境尾根縦走が主流です

今日は、縦走路を横切る峠道の一つ唐谷越(田野々越)を伊予から讃岐へと歩きます

古代から近代まで人流、物流の動脈だった峠道 楽しみです


川之江八幡神社・山田井街道石碑(7:35)〜(8:23)荒神社(8:33)〜(9:07)おっさか峠
(9:31)石ノ口金毘羅燈籠〜(9:41)登山口〜(10:31)唐谷峠(10:52)〜(11:13)県道
(11:52)田野々金刀比羅宮(12:00)〜(12:16)法泉寺〜(12:50)豊稔ダム(12:57)
(13:25)
観音寺教育センター                       (5時間50分)



川之江八幡神社南隣、相模橋袂に立つ道標(明治39年6月建立)

金生町山田井方面から八幡神社への参詣道でしょうか? 気になる道標です



予讃の峠・唐谷峠(田野々越)の木に貼り付けられた、「(推定)古代太政官道」

(注 推定と書かれていますので、ルートは諸説あるんだろうと思います)

太政官道とは、律令時代、諸国の国府を結び、公使や官吏が通った道です

ですが、なにせ官道の遺跡も無い道を、古道の雰囲気に浸りながら歩くと言っても無理がある

視点を変え、1000年ほど時空を振り戻すと、

この道沿いには、江戸期以降庶民に広がった金毘羅参詣の面影が多く見られます

今日は、「こんぴらさん」にスポットを当て、予讃の峠道を歩きます



昔の船溜まりに再建された「潮見燈籠」(平成15年7月)

晩秋の佇まいの川之江八幡神社にお参りして、



境内を抜け、相模橋袂の「山田井街道」石碑前からスタートです

街道のルートは?だけど、とにかく金生町山田井方面へ

JR踏切を渡ると、赤い鳥居がよく目立つ稲荷大明神



自転車に乗った中学生から、元気な声が飛んでくる

校門といえば桜が定番ですが、この学校の生徒には輝く銀杏が記憶に残るでしょう

ちょっと寄り道して、菅原神社にお参ります



 住宅街に、風格ある常夜燈(天保8年9月)

高文殊山を正面に見ながら、山際を進む



銀杏が輝く荒神社 この辺りで山田井街道と大岡駅からの太政官道が合わさるんでしょうか?

県道9号(大野原川之江線)に出るとすぐ、常夜燈(明治45年2月)



現代の官道・高速高架を潜る そろそろメリークリスマスの季節です

官道は、後に早苗出(右写真のところで左へ)から峠越えをし箕浦の神田へと抜ける

あるいは、川之江から海岸回りで箕浦への時代もあったとか 

「早苗出ルート」気になります



県道を緩やかに登る 峠手前で市街地方面を振り返る

「おっさか峠」の地蔵さん(石仏) 北側の林の中から県道を見下ろしています



峠から緩やかに下り、交差点を左へ

(左折せず、100mほど先で右に下る道が「長持街道」(金毘羅街道)だそうです)

石ノ口集会所前を通り、狭い車道をどんどん奥へ入ってゆく



分岐に金毘羅さん 左の川向かいに見えるのは八幡さん

地元の方が、「昔、田野々で市が立ち、峠を越えてよく行った」と話してくれました

最終民家を過ぎ、落ち葉の積もった車道を進む



左に鳥居  実は、6日前に街道の偵察でこの辺りを歩いた際、この鳥居が気になり

120段の石段の後に続く急斜面を、社はまだかまだかと喘ぎながら登りました

331mp直下まで標高差120mを登ってやっと辿り着いたのが、右写真の「祇園さん」です

今日は、当然パスします



石ノ口の県道分かれから25分、車道終点が登山口 左右に大きな砂防ダムが見える

二俣間の尾根筋に付けられた登山道に入る やっと山道です

よく整備された道を5分で分岐、上の方で合流するよとやや急な右に進むが、5分余で行止り

分岐まで引き返し、直進する (10分ロス)



何処からともなく聞こえていたチェーンソーの音が、段々大きくなってきたと思ったら

道側の急斜面で下草刈り作業していた方がひょっこり現れた

お互いビックリしながら、手を休めて暫し話し込む

「気を付けて〜」と見送られ、植林を抜けると左写真に出る

左に少し登り、大谷山の第一ベンチで大休止



峠から田野々方面 石の標識左後ろの木に、「(推定)古代太政官道」の地図が貼られている

少し先に、田野々へ下る道と、右に金見山への登山道があります  



下り口に「←田野々 県道9号へ1km」の道標 思ったより歩き易い道です

途中、小さな木橋を渡りますが問題ありません



10分で林道に出る(左写真 振り返る)

林道を進むと、「金見山登山口」の指標がある 気になる道です



小さな池の先は第一ベンチのあったピークかな?

林道歩き10分で、県道9号に出る



柞田川沿いの紅葉を見ながら県道を下る

左の石垣上を見ると、林の中に何やら祠 龍神さんかな?

金毘羅道標か、里程標か、何かないかと、きょろきょろしながら歩く



県道歩き20分で「観音寺市、のりあいバス」田野々停留所

JR豊浜駅方面にも便がありますが、次の便は16時11分発 先に進みます

地元の方に尋ねたら、田野々には「こんぴらさん」が4ヶ所 右写真が最初のこんぴらさん

この地区では、日照りが続くと後方の高尾山に登り、

竜王社に籠って雨乞い踊りを奉納したそうです



五郷小学校田野々分校跡地横の金刀比羅宮

うっと暗い坂を登って行った先の広場に、社が祀られていました

制札場(現代版官報掲示板設置場)跡のこんぴらさん



紅葉寺「法泉寺」 落ち葉が何重にも敷き詰められていました

鎌倉神社境内に四つ目のこんぴらさん 境内には、龍王神社も祀られています



単調な車道ですが、豊稔池や晩秋の景色を眺めながらの歩きは退屈しません

堰堤から水が零れそうな豊稔ダム 1930年完成の石積式アーチダムで国の重要文化財です

それはそれでいいんですが、街道はどうなっちゃったんでしょうかねぇ



県道から振り返る 谷は急峻です この辺りは街道の難所だったと思います

車道沿いの地蔵さん 街道にあった三界地蔵尊を移設したんでしょうか?



ゴールは、大野ヶ原井関の観音寺市教育センター(旧 五郷小学校)

6時間弱の予讃の峠道歩き

金毘羅参詣者の跫音は聞こえましたが、官吏の跫音は(やはり)?です

1200年以上も前の律令時代、道路標識を石に刻んで残すという文化が無かったんでしょうか?

一つでも、何か決め手が欲しかった

?の多い歩きでしたが、気になる道も新たに出て来ました

短い予讃の国境にはロマン(あるいは?)がいっぱい漂っています

タクシーで、JR豊浜駅へ 豊浜駅13時46分発に乗り、10分で川之江駅

駅前で食事をし、八幡神社に帰ってきた


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