ブナの森

森に入ると深呼吸したくなる

雪の重みに耐え、春を待つ

そして芽吹き、空に向かって思う存分伸びてゆく

やがて秋色に装い、葉を大地に返すと

再び森は静まり返る

 

〜落葉期の森〜

石堂山〜矢筈山

雪の中に眠る孤高の祖谷山系に

霧氷の華が咲いた

周りがパッと明るくなり、なにやら木々たちの

嬉しそうな話し声が聞こえてくるようだ

 

寝ぼけ眼を擦りながら、思いっきり背伸びして

冬枯れの青い空に、高く枝を振り欅(挙)げている

思う存分、太陽の恵みを浴びるブナ

温かい冬の日差しが心地良い

この森が、明るい緑色に染まるのが楽しみだ

 

大森山〜佐々連尾山

深い雪の中で眠り、雨の日は雨を聴き

風の日は、風に舞い

気の遠くなるほど春夏秋冬を繰り返し

今、大地に還ろうとしている

それでも、尚、静かに立ちつくす、老ブナ

不屈のエネルギーが、ひしひしと伝わってくる

些細な事で、不平不満を言っている自分が恥ずかしい

 

直ぐ側で、背筋を伸ばした若いブナが

「ご苦労様でした」と、言いたげに

尊敬の眼差しで、物言わぬ老ブナを見つめていた

 

石鎚

成就社手前

成就社へ向かって歩いていると、

目の前に飛び込んでくる大木があった

ブナだ

夏は木陰をつくり「休んでいかないか」と呼びかけてくれていた

今は、すっかり小さくなってしまって・・・

それでも、年老いた親の様な存在感で

変わらず見守ってくれている

 

夜明かし峠

信仰の山、岩の山、花の山、紅葉の山と、形容される

石鎚だけど、忘れてならないのは「ブナの山」

どの登山コースも、立派なブナ林が迎えてくれる

天狗岳をバックに従えたこのブナも、霧氷でおしゃれ

していたら、もっと素敵なんだけど・・・

 

大山

奥に、西日本有数のブナ林が続く

手前は生憎ブナではありませんが、綺麗な根回り穴でしょう

 

ブナの根回り穴に入ってみた  暖かい〜

「弁当忘れても、傘忘れるな」と形容される大山

雨もよく降るが、雪も沢山降る

三月に入ったと言うのに、六合目避難小屋は雪に埋もれ、

頂上小屋もかろうじて屋根が見えている

まだまだ雪は深い

それでも確実に春が訪れている

ブナの温もりが、徐々に広がっていた

 

笹ヶ峰

丸山荘と西山越えの間

新居浜から黒森山、沓掛山を越えてくる旧登山道に

どっしりと構えるブナ

近頃は、この道も歩く人が少なくなった

「静かなのもいいけど、たまには笑い声も聞きたいもんだ」

 

天狗塚

風雪に耐えたブナ

ブナには、何故か母の温もりを感じる

最初は緊張して恐々接していた姑

いつの間にか、実家の親より親密になっていた

4人の子供に四分の一ずつの愛情を注ぐのではなく

一人、一人に、全身いっぱいの愛を注いでくれる人

会う前に、聞いていた通りの人だった

 

大滝山

ブナ峠付近、どっしりと大地に根を張っている

 

讃岐、大滝山は姿の良いブナの原生林が立ち並ぶ

早春の光を浴びながら、薄っすらと雪が積もった道を歩く

嬉しそうな野鳥の囀りが賑やか〜

以前、相栗峠から縦走した時、やっとブナが見えた〜♪

と、思った途端、雷の歓迎を受けてしまった

ブナを見上げる余裕も無く、慌てて西照神社へ避難

降りしきる雨を眺めながら、雷が遠ざかるのを待った

そんな、思い出が蘇る

 

獅子舞の鼻

舟窪から獅子舞の鼻へ向かう途中

 

舟窪から真っ直ぐ山腹を進んで稜線へ出る道が傷んでからは

獅子舞の鼻への急坂をとり稜線へ出る。そこには、今まで登山者

の目に触れなかったブナの自然林が思い思いの姿で寛いでいた

ブナを見上げて一息つくと、疲れも吹き飛んで

”頑張ろう”という意欲が湧いて来る

春間近の戻り寒波、この寒さの中

どうしているだろうかと気になり行ってみた

其処には、春を待つ主が何時もと変わらず

しっかりと立っていた

 

こんなに天気の悪い中、よく来てくれたね

そろそろ吹雪も止みそう。気をつけて帰るんよ

アケボノツツジの咲く頃、また見にオイデ〜

そんな声が聞こえた

 

高縄山系

楢原山山頂にある、奈良原神社境内から発掘された

「銅宝塔」を玉川近代美術館で見た

平安時代に作られ、国宝に指定されている

歴史の有る山らしく、ブナも整然と並んでいた

 

河野氏の菩提寺高縄寺がある高縄山

境内の直ぐ側にある樹齢500年の千手杉は

有名だが、山頂一帯のブナの自然林も見事

野鳥を観察しながら、森林浴を満喫〜

 

剣山

今年の冬は、暖かいね

まだ二月になったばかりだというのに

春を思わす日差しだわ

もう、新芽を出してみようか

そんなに慌てないで、ゆっくり、ゆっくり

 

橡尾山

遊歩道奥に逞しく聳えるブナの原生林

 

橡尾山のブナの事を教えてくださったM先生

病魔と闘いながら、出来るなら、命がある間にしておきたい

と言われた事は、全てやり遂げ、77歳になる2日前に阿弥陀

様の許へ逝かれた。「書けなくて・・・」と奥様から手渡された

宛名が書かれただけの封書。先生の想いが伝わってくる

 

三瀧古道

 

 

笹ヶ峰 (新宮)〜三傍示山

土佐の参勤交代道、土佐北街道を通った多くの人々の

悲喜こもごもを見てきたブナ

今も、予土の峠で静かに人々を見守っている

 

思わぬ吹雪の中の三県境トレッキング

三傍示山が近付いた頃から青空が・・・良かった〜

と思ったのも束の間、県境を辿っていると道なき道に

GPSを持ったリーダー曰く「山勘が一番大事ですよ」

歩き疲れた頃、無事にデポ車近くの県道に飛び出した

リーダーの内心は、K2より難しかったかも?

 

 啓子の部屋   ホ ー ム