2020年11月28日  ”添蚯蚓”


GPSトラックログ (カシミールソフト使用)
この地図の作成に当たっては国土地理院長の承認を得、同院発行の数値地図50000(地図画像)、及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用
 承認番号 平18総使 第582号る



全国には、一度聞いたら記憶に残る面白い山名や地名が沢山ありますが

中世より久礼と床鍋を結ぶ土佐往還道「添蚯蚓(そえみみず)」も気になる地名です

今日は久礼八幡宮に参拝してから、添蚯蚓坂を登り七子峠を目指します

さてさて、どんな道なんでしょう

下山後の楽しみはカツオのたたきと、久礼湾に浮かぶ双名島探訪です


久礼八幡宮(7:30)〜(7:45)56号線コンビニ(8:00)〜(8:20)添蚯蚓登山口〜(9:35)最高点360m
(10:20)
七子峠(10:35)〜(11:00)奥大坂林道〜(12:20)大坂休憩所(12:30)〜(12:50)久礼八幡宮  
                                (5時間20分)



今日は歩く距離が16km程、6時間近くかかるかなと予測して

早めに出発したので、久礼で日の出を迎えました


久礼港は鰹漁のイメージですが、土佐西部の流通の要港だそうです

長い防波堤の向こうに浮かぶのは、土佐十景双名島

土佐三大祭り・久礼八幡宮秋季例大祭が行われる境内からスタート



久礼大正町市場を過ぎ、高知県内最古の蔵元・西岡酒造店前を歩く



国道56角にあるコンビニで小休止し、長沢川沿いの車道をゆく

国道から10分で、「左 土佐往還 そえみみず遍路道」の道標

7分でまた道標、左に取り蝉ヶ谷橋を渡ります (右 ほんみみず 大野見村)



此ヨリあん迄二四丁須崎カコヤ増平文政一二年正月吉日」(文政12年は、1829年)の道標を見て直ぐ

ヘンロ小屋プロジェクトにより2009年1月24日に完成した「へんろ小屋そえみみず・酔芙蓉第31号」休憩所

ほのぼのとした可愛いイラスト入りの案内図がある

岩本寺一七.九粁 七子峠四.八粁」「青龍寺三九.一粁」と刻まれた平成九年の石柱と、

下写真の説明板を見て山道に入る



中土佐町教育委員会の説明板に拠れば(木漏れ日でちょっと読み難いですが)

「1700年頃に書かれた『土佐州郡志』に、曲がりくねって進むミミズに似ているので、この名前がついたのでは」

と書かれているそうですから、少なくとも300年以上前から「添蚯蚓」と呼ばれていたのでしょう



へんろ道傍らの苔むした台座にお大師さん

近くに「弘法清水の横穴跡があります」という説明板が木に括られている

へんろ小屋から10分弱で、高速道路建設のため古来のへんろ道は途絶え、

「岩本寺遍路道」「土佐往還そえみみず迂回路の遊歩道約四百米 平成弐拾年拾弐月吉日」の石柱

ベンチに腰掛け水分を取り、衣服調整してから階段道を下る



高知自動車道長沢川橋を潜り、長い長い階段を上がってゆく

途中の東屋から高速道路を見下ろす

この後も、ため息が出そうな長い急階段は続く 今日一番のしんどい登りです



階段道が済んで直ぐ、苔むした四角な石柱があり

五社へ四里 四万十川へ十五里半 あしずりへ三十五里 てら山へ三十八里 いよ境まで四十一里

また、へんろ道中で亡くなったおなみさんの戒名も刻まれている



石畳を緩やかに登る 大ヒノキの根元に「四丁石」 

このほかには、 丁石を見かけなかった



登山口から1時間15分で今日の最高点(360mくらい)

古木の根元に、卵塔、舟形、角柱の僧侶の墓石が祀られている

手前に四丁石もあったし、此処が「海月庵」のようです

へんろ小屋に有った案内図には、「空海が旅の途中、久礼の海に昇った満月に感動し

ここに草庵を結び地蔵菩薩と自像を刻み修行したところ」と書かれています

明治26年 に焼失したという茶店はこの辺りだったのかもと、暫しお茶休憩



409mpは東面を巻き、ベンチが置かれた所から、久礼湾を望む

少々木が煩いが、双名島が見える添蚯蚓唯一の展望所です

紅葉も少ない常緑樹の森に延びるへんろ道をひたすら進む



植林帯を下り、右手に畑が見え出したら、ほどなく山道は終わりです

「人生即遍路 山頭火」の石柱から歩いてきた道を振り返り、県道41号に出る

添蚯蚓坂を歩いてみて、ミミズが這ったように曲がりくねった道とも思えませんでしたが

大野見村への道「本蚯蚓」は、もっとクネクネなんでしょうか?

あるいは、ミミズは伸縮を繰り返して真っ直ぐ進んだりもするので、さて?



「七子峠」 窪川一帯の7つの郷があつまる峠という「七郷峠」がいつしか「七子峠」になったとか

コーヒーで温まりながら、大休止 峠の展望所から穏やかな久礼湾を見る



久礼と岩本寺を繋ぐ二本のへんろ道、「添蚯蚓道」と「四国のみち」

七子峠からは「四国のみち」を歩いて久礼八幡宮(6.8km)へ帰ります

いきなりの激下り 谷底に向け急階段道が続きます



添蚯蚓坂では誰れにも会わなかったけど、歩き遍路さんお二人とすれ違う

峠から700m、土石が溜まった不動が滝(右写真振り返る)前の丸太を慎重に渡る

半分埋まった標柱上で見守るのは不動明王



七子峠から25分で、「久礼八幡宮5.8km」標識がある林道に下り立つ 

へんろ休憩所(滝休憩所)で一休み



収穫後のしょうが畑の向こうに高知自動車道が見えて来た
 
大坂谷川橋を潜る 高さ80mは、四国一だそうです



奥大坂集落から七子峠を振り返り見つつ、大坂谷川沿いをどんどん下る 

「桜並木と史跡」「青木の五輪塔群」の案内と標石 右が大坂休憩所

春遍路の頃には、辺りがピンク色に染まり憩いの場所になることでしょう



大坂休憩所から久礼八幡宮まで、後1.1km ようよう終点が見えて来ました



久礼湾を眺めながらリュウノウギク咲く海岸線を歩き、駐車場着


「道の駅なかとさ」で食事、買物をし、

県道320号安和海岸線(「四国のみち 断崖のみち」)を走り、双名島へ向かう


 
大波に悩んでいた久礼の人を助けようと、鬼ヶ島の鬼が二つの大きな岩を運んで来たと伝わる双名島

久礼の漁師さんたちは、この島に航海と家族の安全を祈願するそうです

手前が観音島、沖が弁天島 二つの島はコンクリート道で繋がり歩いて渡れます

岩場は白色、黄色、桃色の花々で飾られ、 師走間近とも思えません



久礼町街の背後に横たわる添蚯蚓坂や七子峠方面を見る

観音島の石段を上ると中腹に観音堂 石段は上へ続いていますが、取り付きが崩壊気味



 ならば裏からと少し登ってみましたが安全第一、引き返す
 
防波堤で竿を振る人と話などしながら、弁天島へ



ツワブキや菊に隠れた石段を折り返し登ると、林の中に弁天様



頂上には、久礼港双名南島灯台(高さ9.6m、昭和33年2月初点)

のんびり防波堤を歩いて県道に帰る 30分ほどの双名島探訪でした


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